教育基本法問題文献資料集成


■責任編集・解説: 平原春好(神戸大学名誉教授)
■体裁:A5判上製・総約3,000頁
■揃本体:120, 000円+税
■発行年月:2007年1月刊行
■4-284-30092-X


平原春好

大田堯
小川正人
佐藤学
星野安三郎
中村睦男

【第 I 期】 全10巻・別冊1
  ■揃本体:95, 000円+税
  2006年6月刊行
  4-284-30080-6

【第 III 期】 全5巻・別冊1
  2007年5月刊行予定


●特色1
戦後から1980年までの教育基本法、また関連の諸問題についての単行本、雑誌論文、議事録、判例を体系的に集成!!

●特色2
文献は“教育基本法の学習”愛国心教育をめぐる状況”“新学制の実施”など10のテーマから選定。政府・文部省関係の文献ほか、教師やジャーナリストによる著作にも重点をおき収録!

●特色3
雑誌論文は、プランゲ文庫に所蔵されている戦後初期の雑誌に掲載された貴重な論文から、教育基本法を議論する上で欠かすことの出来ない基本論文まで幅広く収録!

●特色4
教育基本法に関する論点を多角的な視点から検証できるよう、関連の議事録、判例を多数収録!




■第 I 期
巻数 内容 テーマ
第1巻 第九十二回帝国議会会議録
衆議院本会議第十七回(昭和二二年三月一三日)
衆議院本会議第十八回(昭和二二年三月一五日)
衆議院教育基本法案委員会第一回(昭和二二年三月一五日)
衆議院教育基本法案委員会第二回(昭和二二年三月一五日)
衆議院教育基本法案委員会第三回(昭和二二年三月一七日)
衆議院本会議第十九回(昭和二二年三月一七日)
貴族院本会議第十九回(昭和二二年三月一九日)
貴族院教育基本法案特別委員会第一号(昭和二二年三月一九日)
貴族院教育基本法案特別委員会第二号(昭和二二年三月二〇日)
貴族院教育基本法案特別委員会第三号(昭和二二年三月二二日)
貴族院教育基本法案特別委員会第四号(昭和二二年三月二三日)
貴族院本会議第二十三号(昭和二二年三月二五日)
【教育基本法の制定】
「教育基本法」概説〜第十一条
星野安三郎編「口語教育法」より抄録(自由国民社・一九七四年)

教育基本法の学習―子どもの教育は守られるか―
国立市民大学教育ゼミグループ編(国立市公民館・一九六八年)

憲法学習―教師のための案内―
日本教職員組合教育文化部編(日本教職員組合・一九五六年)
【教育基本法の学習】
第2巻 教育改革の現状と問題―教育刷新審議会報告書―
教育刷新審議会編(日本放送出版協会・一九五〇年)
【新しい教育の構想】
第3巻
教職適格審査関係法規と解説(改訂版)
文部省審査関係法規研究会著(三養書房・一九五一年)
第4巻
日本人の創造―教育対話篇―
上原専禄・宗像誠也著(東洋書館・一九五二年)
【新しい人間像の追求】
第5巻 世界と日本の道徳教育(講座・現代倫理9)
清水幾太郎ほか著(筑摩書房・一九五八年)
第6巻 愛国心と教育
新井恒易著(三一書房・一九五八年)
【愛国心教育をめぐる状況】
第7巻 新しい愛国心
毎日新聞社学芸部編(毎日新聞社・一九六一年)
第8巻 戦争をどう教えるか(教育問題新書6)
長洲一二編(明治図書出版・一九六三年)
【平和教育の出発】
第9巻 原爆をどう教えたか(教育問題新書34)
広島県原爆被爆教師の会・広島県教職員組合編(明治図書出版・一九七一年)
第10巻 原爆を教えつづけて(ながさきの平和教育3)
平和教育資料編集委員会編(長崎平和教育委員会・一九七七年)
別冊 解説・解題(平原春好)


■第II期

巻数 内容 テーマ
第11巻 六・三制教育の礎
文部省管理局編(大蔵省印刷庁・一九五〇年)
【新学制の実施】
第12巻 新制中学校・新制高等学校教職員現職教育の手引
文部省内現職教育研究会編(教育問題調査所・一九四八年)

新制中学校・高等学校指導主事の手引
文部省内新教育協議会編(日本教育振興会・一九四八年)

新制高等学校実施の手引
文部省学校教育局編(文部省学校教育局・一九四八年)
第13巻
新教育のあゆみ(新教育の実践体系 I )
海後宗臣・飯田晃三編(小学館・一九五八年)
【新教育の実践】
第14巻
社会科教育のあゆみ(新教育の実践体系II)

梅根悟・岡津守彦(小学館・一九五八年)
第15巻 日本の教育課程―その法と行政―
平原春好著(国土社・一九八〇年)
第16巻 教員養成大学(三一新書206)
高木太郎・杉山明男編(三一書房・一九五九年)
【新しい教師の形成】
第17巻 日教組運動史
新井恒易著(日本出版協同・一九五三年)
第18巻 旧教育委員会法の下における地方教育行政運営の沿革
文部省初等中等教育局地方課編(文部省・一九六二年)
【教育行政の組織と役割】
第19巻 新しい教育委員会制度―その批判的解説と資料―
山本敏夫・伊藤和衛編(高陵社書店・一九五六年)
第20巻 文部省
文部省記者会編(朋文社・一九五六年)
別冊 解説・解題(平原春好)


■第III期 ※収録資料は【雑誌論文】【議事録】【判例】を予定。

【雑誌論文】
プランゲ文庫に所蔵されている戦後初期の貴重な雑誌から、『教育』、『教育評論』、『季刊教育法』『月刊社会教育』など現在でも続く雑誌の論文まで幅広く収録予定!

【議事録】
第一回から第九十四回国会までの間における教育勅語等排除・失効に関する決議、国民実践要領、臨時教育制度審議会設置法案、期待される人間像に関する質疑、討論ほか、様々な教育法立案や国務大臣所信表明に対する質疑、討論の中から関係主要部分を精選、収録予定!

【判例】
最高裁判所から地方裁判所にいたる各裁判所で出された教育基本法に関する論点を含む判決文を収録予定!

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平原春好〈神戸大学名誉教授〉

戦後教育の見直しが言われてから大分経つ。しかし、その見直しが、出発時の理念や基本的な骨格などを偏見なく理解し、その後のあゆみを自分に即して確かめる努力を欠くならば、改革は砂上の楼閣になろうと書いたことがあるが、それはその後どうなっているだろうか。
 昨年「戦後60年」を名とする改革が提唱されたが、過去の?残滓?をそぎ落とし新時代にふさわしいものにするというかけ声のみが優勢であり、戦後国民が真摯に取り組んできた成果に目を向けそれを踏まえて発展的に改革を構想するものが少なかったのは、まことに残念なことであった。
 第二次大戦後の教育は、制度上教育基本法を中心に編成され、実施されてきた。しかし、本質的には、教育基本法の理念や条項をどれほど深く、発展的に理解し、その実現に真摯に取り組んだかによって、成否が決まる。その点、これまで各方面でどのような対応がなされてきたのだろうか。
 わが国の教育をよりよくするためには、あるいは教育基本法の改正を論ずる際にも、この点についての検証が必要である。この文献資料集成は、専門的研究資料にとどまらず、そのための基礎資料になることをも願い、企画・編集した。
 その際、既刊の『教育基本法制コンメンタール I〜IV』(全40巻)との重複を避けながら、1970年代頃までの重要資料を集めるようにし、また、復刊などで現在入手できるものは除外したが、これらについては必要な場合「解説」や「解題」の中で注記することにした。収録文献は、単行本のほか、教育関係雑誌の主要論文と、制定後立法府と司法府でどのように取り扱われたかを検証するために国会議事録と判例をも加えた。
 このような試みにより、わが国の戦後教育のあゆみをより包括的に、より正確に理解していただけることを確信して、この『教育基本法問題文献資料集成 I〜 III 』(全25巻)を世に送る。他の文献資料集に加えて多くの皆さんに活用していただくことを期待する。


戦後社会と教育の現実を読み解く基本資料
 大田 堯(東京大学・都留文科大学名誉教授)

「教育基本法を中心とした教育法令の体系と制度」、つまり教育基本法制は、その初心といわれ、理想とされるものそのものの中にも、矛盾が存在する。それは日本のピープル自身の内発の成果とは云いきれぬ、占領と外圧のもとでの「民主主義」の出発という事実に内在する。為政者のみならず、私たちピープルの中に、「内なる絶対制」をかかえた出発であった。その克服が果せぬうちに、経済成長、マネー社会が共同体を解体、人々を自己中心、バラバラに引き裂いた。したがって基本的人権を基軸とする市民連帯はなお希薄で、国家権力の垣根はなお高い。『教育基本法問題文献資料集成』を通じて、戦後社会と教育の現実、そして自分自身の内面を直視する必要は、今、格別切実である。

教育課題の今を読み解き未来の教育ヴィジョンを探る資料集成
 小川正人(東京大学大学院教育学研究科教授)

教育基本法の改正をめぐっては、賛否それぞれの立場でも多岐にわたる論点が存在している。それだけ、憲法・教育基本法体制と総括されてきた戦後の教育制度や教育をめぐる環境や問題の位相が、この戦後60年の間に大きく変容し多様化、複雑化してきたとみてよい。教育基本法改正の論議は、教育の今を読み解きながら、将来の日本社会を見据えた新しい教育のヴィジョンを国民レベルで描いていく営為でもあると思う。その意味でも、『教育基本法問題文献資料集成』は、時宜にかなった刊行であり、専門研究者だけでなく、教育政策や教育行政に係わる政治家、実務家、多くの教育関係者、市民にひろく活用していただきたい刊行物である。

「教育改革」の息吹とその足跡を蘇らせる重要資料群
 佐藤 学(東京大学大学院教育学研究科教授・日本教育学会会長)

教育基本法を基軸とする戦後教育改革は、民主主義の哲学と政策を指導原理とする壮大な教育実験であった。国家主義とファシズムによって崩壊へと突進した戦前の教育は、一躍、人類の平和と民主主義の実現を希求する世界最先端の教育へと転生した。日本社会が最も貧しく疲弊し混乱した時代に、当時の人々は、世界一高い志をもち最大の財源と良識と知性を投入して、この偉業を成し遂げたのである。本資料集は、これまで復刻されなかった国会議事録、関連資料、単行本を編集し、世界に類を見ない壮大な「教育革命」の息吹とその足跡を現代に蘇らせている。

繰り広げられる改正議論への、手掛かりになる資料
 星野安三郎(東京学芸大学・立正大学名誉教授・元日本教育法学会会長)

教育基本法問題文献資料集成の収録資料を見て、注目したいのは《新しい人間像の追及》、《新しい教師の形成》という項目だて、収録書目の「新しい愛国心」にもみられる“新しい”という視点を意識した編集方針である。“新しい愛国心”と“戦前の愛国心”、これは“改正論者”が言う“愛国心教育”の相違を考える上で非常に重要である。また教職員組合が採択した「教師の倫理綱領」と、それにもとづいた「平和と民主教育」の実践と成果にも注目したい。これらの重要な事柄はこの資料集成から読み取ることができるだろう。以上の他にこの資料集成は、教育基本法の歴史的役割だけでなく、その改正を考える上で非常に有益な資料になり得ると思われる。本企画は誠に時をえたものであり、是非活用をおすすめしたい。

教育改革の原点を確認するために
 中村睦男(北海道大学学長)

教育基本法は、日本国憲法に規定された教育の条項を具体化するために制定された。教育基本法の基本理念は、教育の自主性の尊重とあらゆる不当な支配からの独立性の確保であり、この教育基本法の趣旨に則って第二次大戦後の教育法制度が作られた。教育基本法の意義を考える上に重要なことは、教育基本法は占領下とはいえ田中耕太郎文部大臣を中心とする有識者による日本人の創意によって作成され、国会議員、教育行政担当者、教師、そして国民から強い支持を受けていたことである。戦後教育改革の原点を文献資料で確認することは、新しい改革を考える際に不可欠な作業である。

「教育」関連図書はこちら
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